☆テクノ南海と共に
1991年7月 BMXオンリーストア DIG-IT 開業。
ライダーが何を欲しがっているのかそれを知る事が一番の仕事でした。
そのなかでフリーコースターハブが手に入らないというものがありました。
調べてみると確かにそれまでライダーが使っていたサンツアーのコースターハブは既に生産中止になっており入手が出来ない状況でした。
そこでアメリカに手を回してデッドストックになってるサンツアーのコースターハブを何個か入手できましたが当然後が続きませんでした。

*これがサンツアーのコースターハブ。この写真の物は1996年にグレーブヤード・プロダクツ(モダンフラットランドパーツの元祖だったブランド)で改造を施された物。ステンレス製のフランジをボディーに溶接。さらにステンレス製11Tコグをドライバーに溶接などを施してある。テクノ南海はこのハブを参考に同じようにフランジを溶接したハブシェルやドライバーと一体型の11Tや9Tドライバーを開発することになるのです。
当時、フリーコースターハブという商品は存在しなかったのです。
これは全てコースターブレーキハブを改造したものだったのです。
多くのライダーが大事に大事に(壊れると後がないので)使っていたサンツアーのコースーターでさえ実際にはコースターブレーキハブだったのです。
当時、コースターハブと言えばブレーキが内蔵されたハブのことだったのです。
そのコースターブレーキハブは今でもビーチクルーザーとか欧米の幼児車などに使用されておりますがクランクをちょっと逆回転させると(逆回転と言うより若干後に荷重をかける感じですが)ブレーキがかかるハブのことです。
子供の自転車などでは、ハンドブレーキを握るよりもペダルを漕ぐのをやめるとブレーキがかかるコースーターブレーキハブはとても自然なブレーキなのです。
そのコースターハブはもう一つの特長としてバックしてもクランクがついてこないという特長がありました。
もちろん、ちょっと後にかけるとブレーキがかかってしまうのですがクランキングしなくてもバックが出来るという最大の特徴があったのです。
それをフリースタイル用に使用する場合、ブレーキは不要(それと使ってするトリックもありましたが)ということで内部のブレーキ部品を取り除く改造をしたものがフリーコースターハブだったのです。つまり、当時のフリーコースターハブは全て改造して作った物だった訳です。
サンツアーのハブが入手できないなら、他のコースターブレーキハブを改造してフリーコースターを作ってしまえ!
そう思うのは当たり前のことですが、実はブレーキシューを取り去ってフリーコースターハブとして使用出来るものはサンツアーだけだったのです。
その訳は、フリーコースターに改造するとコースターブレーキハブではあり得ない「クランクを逆回転させる」ことが出来てしまうということです。
他のハブはフリーに改造して使用する逆転させると内蔵されたスプリングが巻き戻ってしまったり、スプリングが折れてしまったりして使用出来なかったのです。
そこでディギットは色んな方にフリーコースターに改造しても使用に耐えうるコースターブレーキハブがないか探しまくりました。
そして行き当たったのが南海鉄工(いまのテクノ南海)のハブでした。

*こちらのフリーコースターハブは3型くらいの物です。多分95、96年型です。一番最初に仕入れた物との違いはコースタータブ(ブレーキとして使用するためにチェーンステーと固定するアーム)がないことです。
駆け出しの会社としては思い切って仕入れた南海鉄工のフリーコースターハブは以下の点にこだわりました。
・アクスルのピッチが26TPIであること(主流は24TPIでしたが前輪ハブと共通化を計りました)
最初はディギットオリジナルハブにしたかったのでハブのボディーにディギットのロゴを入れてくれるようにお願いしましたがそれは出来ませんでした。余談ですが。
そしてハブが到着すると早速ブレーキーシューを取り外して使ってみました。
するとサンツアーにも遜色なく十分フリーコースターとして使えたのです。
読みは当たりました。
半信半疑で購入してくれたライダーからの評判もじょうじょうでした。
しかし、問題点が一点。
それは、ブレーキシューを取り外すことで生じる遊びでした。遊びが大きくフリーの状態からペダルを漕ぎだして駆動されるまでにロスがあるのです。
そこで、南海鉄工さんに電話して相談しました。
実はこの時初めてフリーコースターハブとして使用すると説明したのです。
南海さんとしてはブレーキとして使用すると思っておられたのです。
フリーコースターにして bmxという自転車のフラットランドでこういう風に使用するのですと細かく説明しました。
するとその様な使い方をするのなら遊びを少なくするパーツを作ってあげましょうとおっしゃってくださいました。
しかもその分は無償でした。
しばらくして届いたそのパーツをブレーキを取り除いたハブに取り付けてその状態で販売しました。
するとさらに評価があがりどんどん売れ出したのです。
売れるのだろうかと不安だったのですが読みは当たっていたのです。
そして今、考えるとこの時が製品として世界初のフリーコースターハブが販売はじめた時だったのです。
多分1993年か4年だったと思います。
これがテクノ南海がコースターブレーキハブの会社からフリーコースターハブの会社にかわっていく始まりでした。
そして世界初のフリーコースターハブのメーカーになったのです。
そのあとは、さらにブレーキからフリーコースターへの変化と進化は続いていきました。
ディギットはチームライダーにテクノ南海の新型ハブをその都度提供頂いてテストと開発に協力させて頂いてきました。
とにかくテクノ南海さんは研究熱心でさらに石橋を叩いても渡らないほど頑固にご自分達が納得出来ない製品は出さない姿勢を貫いてこらえました。
また、ライダーの為に長い間基本構造を変えずに来られたので20年前のハブに今の最新パーツをそのまま組み込むことが出来るユーザー思いの会社なのです。
基本構造を変えず来られたのにフリーコースターとしての性能を追求されたことと、徹底的な軽量化+耐久性を両立されてこられました。

*2000年前後のラインナップ。カラーが豊富でした。ドライバは11Tが主流でした。

*クロモリボディーにフランジを溶接したグレーブヤードタイプのモデル。溶接はガスタンクを溶接している会社に発注されておりました。そして画期的な9Tのドライバー。この9Tは倉谷太郎がテストして完成しました。つまり世界で最初に9Tのハブを試したのは倉谷太郎です。

*こちらはブラッククロモリボディーの9Tタイプでハブの主流も48Hから36Tに変化した90年代後半から2005年頃でした。

*よりきれのいいフリーコースターとしてそして14MMアクスルを採用してストリートライダーにも使って頂けるように2006年にリリースされたのがバンブータイプでした。新たな選択肢としてユーザーの心を掴みました。そして軽量化を目指して2007年モデルからアルミシェルを採用。

*2007年。1994年からリリースされていたテクノ南海のオリジナルフリーコースターハブ「K タイプ」にもアルミシェルモデルをリリースしました。同時にクロモリボディーの「K タイプ」も軽量化を図り実は、アルミシェルモデルとのウェイト差はそれ程無かったのです。

*再びワンピースタイプのクロモリハブシェルを採用してクロモリモデルとして最軽量を達成した究極の「K タイプ」がこの2011モデルです。

*2009年にはテクノ南海のこだわりであるアンギュララジアルボールベアリングを採用したフロントハブをリリース。フリーコースターハブだけではなく総合的なハブブランドとしてさらに進化をはじめました。
そしてそして今年2012年
遂にテクノ南海のフリーコースターハブは新しい時代へと舵を切ることになりました。
近日発売される新、テクノ南海のフリーコースターハブは性能も耐久性も軽さも全てが他を圧倒する凄さなのです。
現在テストを担当しているディギットのチームライダー達から文句一つ出ない素晴らしさなのです。
特にフリーになる時、そうで無い時のキレの良さは特筆に値します。
今までのようにフリーにするためにペダルを逆に蹴飛ばす必要なんてもうありません。
フリーコースターを使っているのを忘れるほど自然にライディングできるのが次世代フリーコースターハブなのですから。
さあ、今使っているフリーコースターハブをこの新型に変えましょう!それだけの値打ちがあるのですから。

